薬剤師のチャレンジ~レジ袋と義援金、そしてエコ~
CTNブログ自分自身の生き方、変化、成長医療、看護、歯科、リハビリ日常生活での気づき、趣味仕事、ビジネス、経営、組織づくりコミュニケーショントレーニングネットワーク®講師、主催の佐藤です。ブログをご愛読いただきありがとうございます。
さて突然ですが、目的地に向かうための電車が遅れている・会議の資料を忘れてきた・密を避けてバーゲンを行いたい・飲食店からの魚介の発注が減ってきた、採れた魚を何とか活かしたい・印刷会社の資材を今の社会や生活に活かすとしたら?・人手が足りない、だけど納期はずらせない!・・・こうした場面に遭遇した時、皆さんならどうしますか?
案を思い浮かべたり、会社でのブレーンストーミングを思い出した方もおいでかもしれませんね。
パラダイムシフトコミュニケーション®連続講座のプログラムの一つに、“道を開き「可能」に呼ばれる会話”なるものがあります。このプログラム、ブレーンストーミングとも言えなくもないのですが、実は方法を探すに留まらず!その先にまで影響するシフトを創りだしていく、まさにパラダイムシフトコミュニケーション®だからこそのブレストなのです。それを講座で体験し、その仕組みまでも別プログラムとの繋がりの中で掴んでいきます。そして、講座のご参加者はここで体得した通称「可能の会話」を日常の様々な場面で活かしておいでです。
ところで先日、この「可能の会話」にまつわる素敵なシェアに出会いました。ご本人の快諾のもとに紹介させて頂きます。
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勤務する調剤薬局での7月の取り組みについてのシェアです。
6月下旬、薬局のスタッフ5名で「可能の会話」をしました。(ちなみに私を含め3名はコミュニケーショントレーニングネットワーク®の連続講座卒業生です)
お題は「7月1日レジ袋有料化に伴い、患者さんにエコバックを持ってきてもらう方法」です。
可能の会話がスタートすると、「チラシを貼る」・「声掛けを小まめにする」など、すぐにでも取り掛かれるものから、「持ってこない人には薬を渡さない」・「自宅にエコバックを取りに戻ってもらう」といった少々荒療治的なもの、「プラスチックごみを飲み込んだウミガメたちの悲惨な映像を常に流す」というインパクトで心情に訴えるもの、更には「レジ袋を1,000円と高額にする」等々・・少々バカになってやってみました(^^)
その後、まずは薬局や各自の家にストックしてある紙袋を持ち寄り、それに入れながら
「次回は持ってきてくださいね。」と、声をかけることからやってみることにしました。
ちなみにレジ袋は5円と設定。コンビニなどは3円ですが、あくまでもこの取り組みの意図は「プラスチックごみを減らすこと」なので、患者さんが購入をためらう、他の方法を考える金額を5円としました。
そうすると、無理やり抱えて持ち帰ろうとして、薬や保険証を落としそうな状態の患者さんが目につくようになり、これはまずいなということで、なるべく薬袋を小さく折ったり、輪ゴムで止めたりして、持ってきたカバンやセカンドバック、ポケットに入るようにしました。(それを手伝うところまでやってみました)
それでもレジ袋が欲しい方がいるのは仕方ない。として、そのお金は“令和2年7月豪雨災害”で被災された方々への義援金とすることにしました。(すでに薬剤師会から募金箱の設置の要請があり、薬局には募金箱が設置してあります)
ある時、患者さんから5円のレジ袋は高い!と、ちょっとしたクレームがありました。
年金で暮らしている者から、そうまでして儲けたいか?とまで言われてしまいました”(-“”-)”
そこで、その5円は豪雨災害に遭われた方への義援金にしていることを話しました。
すると「じゃあ釣りはいらない」と、募金箱に10円を入れられたのです。
これを境に、レジ袋が欲しいという方にはご自身で5円を募金箱に入れてもらうようにしました。
すると、「そういうことなら!」と、5円ではなく、10円、100円、中には1,000円札を入れていくではありませんか。
結果としてレジ袋1枚が1,000円の価値となりました。
可能の会話で出てきた「レジ袋1,000円にする」という案が、現実になっていました。
可能の会話をしていなければ、文字通りレジ袋の有料化に機械的に取り組んでいたかもしれません。
8月に入り、ほとんどの方がエコバックや先月使った紙袋を持参されています。
購入する場合にも、ほとんどの方が10円以上を募金箱に入れてくれます。
7月の1か月間の私たちの取り組みが、意図通りに“レジ袋を減らす・義援金を増やす”
こととなっていました。
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予期せぬことが起きようとも立ち止まらない、むしろ、より意図する結果に向かう言動が引き出されていく薬剤師さんたちの様子、さらには関わる誰もが主体的に行動していくことになる展開が感動的でもありました。実はこうした展開を創り出すところにパラダイムシフトコミュニケーション®のセンスが織り込まれているのです(^^)
そして、このシェアのご本人がこんなことも伝えてくれました。
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何かの課題に気づいたり、新しいことを始める時、薬局のみんなで会話することが基本になっていました。その時に「どうにもならないかも・・」という気持ちが脳裏をかすめることもなく、その会話の場に「深刻さ」もないのです。いつも「可能の会話」をした後に、さまざまな物事が自分たちの意図にかなう形で動きだす、そんな体験を重ねています。
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このコミュニケーションのセンス、withコロナの今を生きる方々に是非活かしていただきたい、そんな想いがますます膨らむ出来事に触れさせて頂きました。素敵なシェアをありがとうございます。
そしてお読みいただきました皆さん、ありがとうございます。
佐藤 和美