「自信を失くしたスタッフを何とか教育しよう」を手放してみたら・・・。

こんにちは。

私は障がいのあるこどもたちの支援施設を運営しています。
パラダイムシフトコミュニケーション®を学び始めて9年になります。

１年半ほど前、支援スタッフ募集に対して、経験のある方からの応募がありました。
6年ほど別の同業施設で働いていたけどそこが廃業したため、せっかく培った自分のスキルをうちの施設でも活かしたいと応募してこられました。
さて、実際採用してみると、彼女自身のそれまでの経験からの行動ややり方があり、うちの施設でも自分の技量でなんとかしようとして、なかなか思ったように回ってない様子でした。

そうなんです。
うちの施設と他の施設との違うところは、コミュニケーショントレーニングネットワーク®（以下ＣＴＮと表記）のセンスを使っていることです。
障がいのある子どもたちは指示しなくても、場に相応しいふるまいができるようになってくるのです。

新しく入ってきた彼女は、送迎についてくると「ここの子たちは軽度でいいですよね。何にも言わなくてもちゃんとシートベルトをするような子たちで、楽ですよね・・・。」と言い、普段の支援時間も「ここの子たちは軽度でいいですよね。荒れて大変なことにならない子たちばかりで楽ですよね・・・。」と言っていました。

でも、うちの施設は他所と比べると、重度の子が多いのです。
元々は、シートベルトもできず、車にじっと乗ってられない子は何人もいましたが、段々と場に相応しいふるまいができるようになります。
学校や他所の事業所を利用した時には、荒れて手足が出る子でも、うちの施設では穏やかに過ごせます。

開設して１０年ちかくなりますが、玄関の鍵を一度も締めたことはありませんが、誰もいなくなったというようなことがありません。でも、学校ではいなくなり、校外で保護されるということがたびたびある子が通っています。

新しく入ってきた彼女は、子どもたちを自分の技量で「何とかしてあげよう」と自信満々で来られたようでしたが、うちではNGな働きかけが多かったり、子どもたちがちゃんと行動するので肩透かしをくらったようになり、しまいには「ここに来ないであのまま辞めておけば、こんなふうにできない自分に気づくことはなかったのに・・・。」と言うようになりました。

彼女の仕事ぶりは、どんどん違和感が目立つようになってきたので、私たちはミーティングや研修などを開催し、何とかうちの施設の取組を共有し、彼女自身がスキルアップできるようにと色々やってみましたが、温度差が広がるばかりでした。

そんな中、ＣＴＮでは「操作は機能しない」と言われていることを思い出しました。
その人がスキルアップできるようにと思った私たちの働きかけは、結局彼女を何とか変えようとしていたのだと気づきました。

「〇〇さんを何とか教育することを手放す！」宣言を彼女の教育担当の職員にしました。
〇〇さんを何とか教育しようということではなく、私たちは私たちのやれることをしっかり取り組んでいくことにしました。
そうして２～３ヶ月経った頃、彼女から質問されました。

「利用者のAさんが物を投げた時、普通だったら注意するべきだと思いますが、周りのスタッフは誰も注意をしませんでした。
だから、私も注意するのはやめておこうと思ったのですが、それでよかったですか？なぜ、誰も注意をしなかったのですか？」
利用者のAさんとは、新しく入ったばかりの利用者さんでした。うちの施設に慣れていないことと、過敏さがあるので、どういうときにどういう行動をするのか私たちスタッフは観察しているところでした。
物を投げることがあるのは知っていたので、その子が来る時は投げて危ないものは出さないようにしています。
そのことを、説明しました。

それまでは、周りのスタッフの対応を見ることなく、わが道を行ってた彼女が、周りの人たちがどんな行動をしているかよく見るようになり、参考にしたいと相談してくるようになりました。
教育担当職員とびっくり。

それからはというと、持ち前のお片付けと掃除の上手さを発揮して、すっかり自分の居場所を確保して、イキイキと働いています。

  

「スタッフを何とか変えよう」を手放して、自分たちそれぞれがしっかり取り組むことで、お互いストレスを感じることなくスキルアップに繋がる結果を得られました。
みなさんにも、このセンスに触れていただけたら嬉しいです♪
最後までお読みくださり、ありがとうございました。