母娘の縁が切れそうだったのを、すんでのところで回避できた話
CTNブログ人間関係こんにちは、佐藤歓生(さとうよしお)です。
私は山形県でコーチ、医療コンサルタント、会社経営、研修講師等をしています。
ある日、知人の50代の女性Tさんから、こんな電話がかかってきました。
「佐藤さん、ちょっと聞いてください!!」
「この前、傘寿になる母に高島屋でカシミヤのセーターを買ってプレゼントしたんです。ところが母は、
『ありがとう。んー、でもちょっと私の好みじゃないな…。申し訳ないけどさ、自分の好きなのに変えてもらってくるからレシートちょうだい』
って言うんです。5万円もしたんですよ!はぁ!?って思いません?
『せっかく人が選んでプレゼントしてんのに、なんでそうなの???』
って、思ったけど、母の誕生日に喧嘩をしたくもないんで、キレそうになる気持ちを必死で抑えながら母にレシートを渡したんです」
「数日たって母に会ったら、
『高島屋行ってきたけど、私好みのセーターなかったから返金してもらった。だからこのお金返すね』
って言われて5万円返されました。いやいやいやいや、せっかく喜んでもらえると思ってプレゼントしたのに、そんなのありえないじゃないですか?もうね、怒るとかそんなレベルじゃなくて、もうホントに呆れ返っちゃいました。
セーターが気に入らなかったのはわかったから、せめてこの5万円だけでも受け取ってって何度も言ったんだけど、母は絶対受け取ろうとはしませんでした」
「うちの母はいっつもそうなんです!私がよかれと思ってやってことを全部否定してくる」
「昔からそうだった!」
「素直にありがとうって言って受け取ればいいのに絶対それをしない」
「人の気持ちが全然わからない冷酷な人間だ」
「もうホントむかつく」
「真剣に親子の縁を切ろうと思っている」
お母様に対する不平不満が電話口で爆発していました。
正直私も、お母様の行動に対して人としてどうなんだろ?って思ってしまいました。
でも、ひとまずただ受け取りながら話を聴いていました。
そこで私に湧いてきたことは、このお母様の本心が知りたい!でした。
なのでTさんに、
私「お母様がそういう行動をとった背景には何があるんでしょうね?」
と訊きました。
T「そんなの私を否定したいからに決まってる。昔からそうだった」
私「そのことをお母様に直接訊きました?」
T「わざわざ訊かなくてもそんなの娘なんだからわかる!」
私「一度お母様にしっかり話を聴いてみません?」
T「もう二度と顔も見たくない!」
私「縁を切るのはそれからでもいいんじゃないですか」
かなりの抵抗がありましたが、何度かやり取りをしているうちに、しぶしぶながらこちらからの提案を受け入れてくれました。
そしてそれからまた数日後。
「佐藤さん、ちょっと聞いてください!!(2回目)」
彼女は、顔を見たら冷静でいられなくなるからと、お母様と電話で会話をしたそうです。
なぜ、あのような行動をとったのか。
その背景には何があったのか。
そこには驚愕の事実が隠されていました。
T「あのさ、なんでああいうことをしたの?」
母「ああいうこと?」
T「せっかくあげたセーター、気にいらないからって結局返品したじゃん」
母「うん」
T「ああいうのは人としてどうかと思うよ」
母「うん、そうかもね」
T「わかってやったの?なんで?」
母「んー、私のためにお金使って欲しくないんだよね」
T「お母さんの誕生日だからってプレゼントしちゃ駄目なの?」
母「ううん。プレゼントは嬉しいんだけど、あんな高価なものはいらないよ」
T「傘寿だし、たまには親孝行したいって思ったから、奮発したのに…。あれは酷い」
母「うん…。気持ちは嬉しかったんだけど、あんたはまだ子育て中でしょ。そんなお金があったら○○ちゃん(孫娘)のために使いなさい」
ここまで会話して、彼女はお母様から否定されていなかったことに気づきます。
いや、むしろ大事に思ってもらえてさえいました。
でも、彼女は自己の思い込みにまみれていて、お母様の背景にあるものが見えていなかった、ということだったのです。
さて、この母娘の物語には続きがあります。
Tさんはお母様に改めて自分の気持ちを伝えました。
T「そうは言っても、せっかく80歳になったんだから、私はお母さんの誕生日のお祝いがしたいんだよ。お母さんは何か欲しい物ないの??」
母「んー、欲しいものはない、けど…」
T「けど…?」
母「あんたと孫の○○と一緒に食事がしたいかな」
T「わかった!」
結果、80歳のおばあちゃんと50代の娘、そして高校生の孫娘の三人の女子会ランチが実現しました!
ちょっと前までは、親子の縁を切るとまで言っていたTさん。
「最高に楽しい女子会でした!!」
声を弾ませながら報告してくれた彼女の声が忘れられません。
それぞれの思いがすれ違いのままだったら、きっと二人の関係は最悪なものになっていたと思います。それが結果的につながって、こんな素敵なことが起きた。そこに関わることができてホントよかったなぁと、私自身とても嬉しくなりました。
最後までお読みいただきありがとうございました。