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2020年12月02日

延命措置を希望しないという人と向き合う

日常生活での気づき、趣味介護、福祉CTNブログ自分自身の生き方、変化、成長医療、看護、歯科、リハビリ

兵庫県在住のぺホスです。
今回は、介護の仕事に携わる身近な友人から話を聞いて、自分だったらどうするだろう?と思って探究したことのシェアです。
(※個人情報保護の観点から個人情報は編集・加工しています)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気の診断を受けたAさんという方がいました。

Aさんの病気は、病状が進行すると、やがて自力で呼吸することが難しくなるもので、そうなった時には人工呼吸器を装着しないと呼吸ができなくなってしまうという説明を医師から受けていたそうです。

 

Aさんの選択は、「(人工呼吸器をつける)延命措置を希望しない」でした。自然の成り行きに任せて、最期を迎えたいというAさんの希望は、ご本人・ご家族・医師・看護師・ヘルパー等の関係者で共有され、一人暮らしだったAさんが安心して最期を迎えられるように有料老人ホームに入居することになりました。

 

そして、病状が進行してきたAさんは、徐々に呼吸が苦しくなり、言葉も上手く話せなくなっていきました。あまりの苦しさに、ナースコールでヘルパーを呼び、「苦しい」と訴える回数が増えていきました。

 

延命措置を希望していないAさんは、病院に行くことを望まれないので、提案してもお断りされます。また、ヘルパーは医療者ではないので専門的な助言もできません。話を聴き、寄り添うことしかできないヘルパーは、徐々にどう対応したらよいのか戸惑うようになっていきました。そのうちに、Aさんのお部屋に向かう足取りも重くなり、部屋を出てきてからは無力感に包まれるようになってきたのだそうです。

 

友人から「別にAさんが憎いわけでも、嫌いなわけでもないけれど、Aさんと向き合うことに心理的な負担を感じる」という話を聴いて、わたしの中で探究が始まりました。

 

「どうしたらいいの…?」という戸惑いの渦中にいると、時に人は適切な判断や行動ができなくなったり、自分では抱きたくもない感情が湧いてきたりします。

そして、今回のような状況で、自分がAさんのお部屋にうかがったら、どんな風に向き合えばいいんだろう?と想像してみました。

 

 

・確かに戸惑いそう
・引きつった表情になりそう
・部屋にいる間、沈黙の時間に耐えられないかも
・早く部屋から出たいと思うかも
・部屋を出る間際にかける言葉が浮かばない
・部屋を出た後も「あれでよかったのかな」とモヤモヤしそう

この一つ一つを想像しながら、湧いてくる感情や感覚を味わいながら、「あ…!」と気づいたことがあります。

 

それは、誰かに関わる際の立ち居振る舞いに迷いが生じて、誰かに相談したい時、わたしたちは「どうしたら・・・いいか?」と相談しますが、実はこの問いの奥に、もう一つの問いが隠れているんじゃないかと思ったのです。

 

それは『どういたら・・・いいか?』という問いです。

「どうしたら・・・いいか?」という問いは、「する」こと、つまり“行動”を尋ねる問いです。

一方の「どういたら・・・いいか?」という問いは、「いる」こと、つまり“態度(スタンス)”を尋ねる問いです。

 

「苦しい。だけど、病院にはいきたくない」というご本人の意向がある。

「苦しい」と言われれば、その苦しみが和らぐように力になりたいという態度が生まれます。

しかし、その態度でいると、「病院にはいきたくない」という言葉は、受け取りがたさが出てくる。

 

その方を担当するヘルパーは、この態度が揺さぶられたり、決め兼ねたりすることで、イライラしたり、お部屋に行くのが億劫に感じたりしている可能性があるんじゃないかと思ったのです。

 

わたしは「どうしたら・・・いいんだろう?」と思うことが日常的にあります。

仕事でもありますし、子どもとの関わりでもあります。

 

ただ、よくよく振り返ってみると、自分の態度を決められる時は、さっさとどうするかを決めて動けていますが、態度を決めかねる時は、グズグズして腰が重くなったりコミュニケーションを躊躇したりすることが起きます。

 

そんな自分がいることもつかんでからは、「どうしたら・・・いいと思う?」と意見を求められる場面では、あれこれ行動を提案する前に、「いま、どういう態度(スタンス)で迷っているのか?」を聴かせてもらうことから会話を始めるようにしています。

 

そして、Aさんの話に戻ると、「「苦しい、そして、病院にはいきたくない」と言っているAさんに対して、何かをしてあげようとする前に、そんなAさんとBe withする(ただ一緒にいる)という態度でいられたらよかったのかもしれないなと思います。

 

苦しみは取り除けなくていい。

苦しみを取り除きたいと思っていてもいい。

苦しみではなく、Aさんの存在とともにいるだけでいい。

Aさんが「苦しい」と言える相手としてそばにいるだけでいい。

何かをできない自分を責めなくていい。

 

 

他にも、いろいろな態度があり得るんじゃないか。

どれが正解か?ではなく、どれがその瞬間、もっとも機能するか?が大切な観点だなとも思います。

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

あなたが誰かとの向き合い方に戸惑う時、このブログの記事を思い出してもらえたら嬉しいです。

 

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