指示の通らない子どもだと思っていたが、実は私が原因だった!
CTNブログ家族、親子、子ども・親との関係など教育介護、福祉福祉人間関係こんにちは。
滋賀県大津市で放課後等デイサービスを運営しています大和 幸子(やまと さちこ)と申します。
放課後等デイサービスとは、小学校1年生から高校3年生までの障がいのある子どもたちが放課後や学校休業日に利用する、通所訓練施設の総称です。
コミュニケーショントレーニングネットワークⓇのセンスをフルに使って、日々子どもたちに向き合っています。
今回は、「指示の通らない子」の話です。
言葉の理解はあるのに、指示が全く通らない子たちがいます。
その中のKさんの例を、お伝えしたいと思います。
例えば、うちの施設は学校休業日に給食を出すのですが、給食の時間が近づいてきたので「そろそろおもちゃを片付けようか」と声をかけると、全くしないどころか逆に散らかすこともあります。友達が嫌がっているので止めても止まらない。危険を止めると余計にする。
家でも学校でも、手を焼いているとのことでした。
危険な時や、他人が困ることをしている時に止めると、ニヤニヤしながら余計にやめなくなったり暴言を吐いたりするので、親からも先生からもわざとイタズラでしていると誤解されて、厳しく怒られる日々が続いていました。
一般的には、「なんでこんなことをするんだろう?」と考えがちですが、それを考えても解決するとは思えなかったので、「なんで?」という思考は手放すことにしました。
そこで、今見えてる課題は何なのか?その課題を解決することで、その子がどうなったら嬉しいかということを考えてみました。
今の課題は、指示が通らず場に相応しい行動ができないこと。そのため、誤解され、周りの大人たちからは厳しすぎる指導を受けたり、友達からは敬遠されています。危険なこともあります。本来は、優しく可愛い子なので、場に相応しい行動ができるようになり、みんなから愛され可愛がられる子になってほしいと思いました。
そう思った時、「そうだ!指示が通らないのだから、指示しなければいいんだ!」と気づきました♪
マクドナルドで早く食べ終わったので店内を走り回ろうと立ち上がった時、「ここはみんながハンバーガーを食べにくるところやから、Kさんが走りまわることで、周りの人達がハンバーガーを美味しく感じられなくなったり、走り回ってるKさんが行儀の悪い子やなぁと思われたり、Kさんのお母さんがしつけが悪いと思われたら嫌やなぁ。」と言ってみました。
すると、スッと黙って座り、それからみんなが食べ終わるまで立ち上がることはありませんでした。
給食前に、なかなかおもちゃを片付けない時は、「せっかく料理を作ったのに、美味しいうちにみんなに食べてもらえなくて悲しいわぁ。」と言いながら泣きまねをすると、慌てて片付けて、給食の準備を手伝ってくれました。
車で学校にお迎えに行った施設到着後、ちょうど雨上がりだったため園庭に水たまりがいくつかできていたので、ランドセルを背負ったまま遊び始めてしまいました。促しても絶対に室内に入ろうとしません。
そこで、中にいる職員のMの名前を使い「今日MさんはKさんに早く会いたいと楽しみにしてたけど、今どうしても手が離せなくて外まで顔を見に来ることができないねん。先に「ただいま」だけ言いに行って、元気な顔見せてあげたら、きっと喜ぶと思うねんけどなぁ。」というと、長靴を脱ぎ、さっと室内に入りました(^^)V
Kさんも、周りに貢献している気分になって、毎日ご機嫌です。
それらのことを、ある学校の先生に言うと、「結局指示に従っているわけではないじゃないですか!」と言われました。
でも、私はKさんに私の指示に従ってほしかったのではなく、「場に相応しい行動ができるようになり、みんなから愛され可愛がられる子になってほしい」と思っていただけだったことに気づいたんです。
そして、それは適っています(^^)
それ以来、新しいスタッフには、「Kさんには指示や注意は通じないことが多いから、困っている周りの人たちをサポートしてと依頼する形にしてみると上手くいくことが多いよ。」というようなことを伝えるようにしています。
ところが、あるスタッフは伝えてから1年経ってもダイレクトに支持したり注意をしていましたので、Kさんには一向に通じません。
「以前、Kさんへの対応の仕方を伝えたと思うけど、どうしたの?」と訊いてみたら、「言われた時にはやってみましたが、全然言うことをきかなかったんです。」と返事が返ってきました。
そこで、そのスタッフと私のどこが違うのか、一緒に振り返ってみました。
私は、Kさんが場に相応しい行動ができるようになって欲しいという気持ちで伝え方を変えていましたが、そのスタッフは自分の指示が通るようになるために伝え方を変えたという違いが見えてきました。
「言い方をまねするだけではダメなんですね・・・。」
Kさんがどうなったら嬉しいかは、私とそのスタッフとは違うかもしれません。
ただ、自分たちの都合を押し付けるのではなく、常にKさんにとって何がいいんだろうという視点に立つことが、伝わり方に影響するということがわかりました。
コミュニケーショントレーニングネットワークⓇのセンスを使うと、自分のコミュニケーションの在り方が大切だということに気づかされました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。