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2021年01月27日

障がいのある子どもたちに未来を見せる!

福祉CTNブログ岸英光家族、親子、子ども・親との関係など教育

こんにちは。

滋賀県大津市で小学校1年生〜高校3年生の障がいのある子どもたちが通う施設を運営しています、大和幸子です。コミュニケーショントレーニングネットワーク®︎のセンスを学ぶようになったのは、施設を開設したちょうど5年半前からになります。

 

「あのな〜、僕のお父さんは大学行っててん。お母さんも大学行ってて、お姉ちゃんも多分大学に行くねん。でも、僕はきっと大学には行かへんやろうなぁ。」

 

当時中学生だったSくんが、送迎車を運転している私に話しかけました。

 

ん?

なんで自分の進路のところだけ他人事みたいになってるの?

 

よくよく考えてみると、障がいのある子どもたちの進路は、ほぼほぼ自動的に道筋ができているような気がします。

 

保護者と面談していても、学校から提示される選択肢でいいのか、相談を受けることもあります。

 

本人は、その選択肢の中から、自分の進路を選ぶことが多いのです。もちろん違うケースもあると思いますが、多くはそうなっているような気がします。

 

Sくん以外の子たちは自分の将来についてどう考えているんだろう?

そう思い、他の利用者さんたちに訊いてみました。

 

私 「大きくなったら何になりたい?」

 

Aちゃん 「そんなこと考えても。」

Yくん 「???????」

 

この???は、自分が大人になるということが全くの想定外で、何の話をされているのかわからない???なんです。

 

高校生のNくんには「卒業したらどうしたい?」と訊いてみたら、「卒業なんかしない。ずっとなないろに通う。」と言われました(^_^;)

 

 

なないろとは、うちの施設の名前です。

一般的に、自閉症の子は、知らない世界は苦手と言われています。

Nくんにとって、卒業後の進路は未知の世界であり、足を踏み入れるのが怖くて、不安がいっぱいの世界でもあるのです。

 

自分たちに未来があることがわからない、時間軸が「今」で止まっている子どもたち。

自分の未来を考えるのが怖くて、「今」に踏みとどまろうとしている子どもたち。

自分の未来は自分以外の人が決めたことに従うしかないから、予想はするけど、やりたいことや、なりたい自分を考えることはしない子どもたち。

 

子どもたちに訊いた結果はこんな感じでした。

 

障がいがあると、自分のやりたいことが制限されるのか?

知的障害があると、自分の将来を考えられないのか?

 

私の見ている限り、まったくそんなことはありません。

みんなちゃんと考えられる力を持っています。

 

でも、障がいのある子どもたちの行動には、後先考えずに「今」やりたいことをやってしまうと感じられる行動があります。

 

多動と呼ばれている、じっとしていられない子をお出かけに連れて行った時、車から降りる際「注意することは?」と訊くと、「駐車場で走りません」とちゃんと答えられるのですが、降りるや否や、走ってしまいます。

でも、奈良公園にお出かけした時、公園にたくさんいる鹿が怖かったらしく、そこでは絶対に走らない、といったことがありました。

 

どんな時でも走ってしまうわけではないのか・・・、と不思議に思いました。

自分が走れば鹿が追いかけてくるかもしれない、と未来を予測できたから、適切な行動ができていたんだなぁと、やっと繋がりました。

 

自分の行動が自分の未来に影響を与えることがわかったら、未来に繋がる行動ができるんだ、と思いました。

 

そして、今の自分の行動が自分の未来を創っていくということを、子どもたちに今まで教えたことなかったな、ということに気付きました。

 

 

未来のために今がある。

障がいのある子どもたちに未来を見せよう!

 

 そう思いました。

 

コミュニケーショントレーニングネットワーク®には「意図」というコンテンツがあります。

意図とは、目標とは違い、自分がどんな未来を創りたいかという方向のことを言います。(詳しくは講座で体験下さい)

 

障がいのある子どもたちが自分たちの創りたい未来を描けるようになったら、どんなに可能が開くようになるのかと思うと、ワクワクしました

 

ただ、知的障害を伴う子が殆どなので、ワークでやるようなことはできません。

 

そこで、私たち職員が、自分たちの創りたい未来や、子どもたちがこれから創っていくだろう世界についてのわくわくした会話を、意図的にどんどん起こしました。

そして、近くの大学の学食にランチ体験をしに行ったり、私が仕事で行政や金融機関に行く時には、可能な限り同行させ大人の世界を感じられる機会を増やしました。

 

数ヶ月後、「???」のYくんが、「大きくなったらなないろで働きたい」と言ってきましたω`)

 

他にも、なないろで働きたいと言い出す子が続出!

 

時間軸が未来に繋がり始めた瞬間です。

 

そして、卒業しないと言っていたNくんは、自分で実習先を決め進んで実習に通うようになりました。

そして、ついには卒業後の進路を自分で決めたのです!

 

進路先の面接では、面接の先生から「今から難しいことを聞くけど、わからなかったら答えなくてもいいからね。うちを卒業した後にどんなことをしたいと思っているのか、もしあれば教えてもらえますか?」と聞かれると、即座に「僕は お父さんみたいに長く働いてお金を持てる人になりたいです。」と答えたので、みんなとても驚き、感動しました。

それからは、自力で公共交通機関を使って通えるようになり、交通系ICカードのチャージもできるようになりました。そして、卒業後の進路の選択肢がかなり増え、今は自発的に、目標に向かって、着実に成長し続けています。

 

また、???の当時小学校4年生だったYくんは、6年生になったら生徒会メンバーになると目標を決め、今までは、送迎バスを見るために帰りの会をサボって外に出ていたのが、みんなのお手本になりたいと、帰りの会が終わってから教室を出るようになりました。そして、一年間頑張った結果、生徒会メンバーとして認められました。

今は、将来、街を創りたいと、毎日せっせと街の設計図を描いています。

 

その子たちを見ている他の子どもたちも、やりたいことを言葉にできる子が増えてきています。

 

 

講座を受講していた頃は、自分の意図の探究をしていましたが、こうやって誰かと一緒に意図の探究をしたことはありませんでした。

そして、誰かと一緒にする意図の探究がこんなに楽しいものだということを、初めて体験しました。

障がいのある子どもたちと、パートナーとして一緒に私たちの未来を創っていくことが、私の意図になりました。

 

 

時間軸が未来に延び始めた障がいのある子どもたちから、刺激をもらい触発されているのは私自身です。

 

子どもたちに負けてられへんなぁと、私の未来を更に探究中です!

 

 

大和幸子

 

*使用している写真は同意を得て掲載しております。

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