「受け取る」こと
CTNブログ医療、看護、歯科、リハビリ千葉市で鍼灸整骨院を営んでいます上原です。
「受け取る」は
コミュニケーショントレーニングネットワーク(R)の
講座で扱うテーマの一つで、
思いや考えや身体の状態などその人にあることを、
ただあるがままに受け取ることをいいます。
今、私はこの「受け取る」を実践する中で、そのパワフルさを実感しています。
治療にこの「受け取る」を取り入れることで、
来院されるクライアントに望ましい変化が起きています。
それをシェアします。
とあるクライアントさんは、脳の疾患で「言語障がい」があります。
理解する言語(機能)はある程度残っていますが、
特に表出する言語(機能)が障害されています。
つまり、こちらの言うことは理解できるし、自分の考えもあるのだけれど、
それを言葉にして相手に伝える、ということがうまくできないのです。
単語や言葉が出てきません。筆談も出来ません。
その上、身体に麻痺があるので、
日常生活を一人で送ることはとても出来ない状態です。
来院されるクライアントさんには、治療を施し、回復を試みるのですが、
この「受け取る」を知る前の私は、「治療」というと「積極的な方法」で行っていました。
話しかけたり、
表現させたり、
治療時間を目一杯使って何とかしようと、
昨日よりも、来院された時よりも前進させようとします。
半ば強要している状態だったのかも知れません。
一方「受け取る」というのは、
こちらからの積極的なアプローチではありません。
そして、傾聴や共感という医療面接のテクニックに似ているようで、
全く非なるもの、です。
そのクライアントを「受け取る」と決めてから変化が起りました。
自ら話そうと挑戦する様子が、自然と現れてきたのです。
もちろん日によっては、こちらからの問いかけに対して、
首を横に振って、会話を拒否される日もありますが、それもOKです。
積極的に言葉を引きだすのが目的ではないからです。
話したくない、会話したくない時には、
痛みが強い時は顔をしかめ、手足の力が抜けない。
疲労感が強い時は目がうつろで動作が緩慢になる。
そんなクライアントの様子から内面にあることを受け取ります。
そのようにして、言語障がいのあるクライアントの
「治療」と「受け取る」ことを何回か繰り返し、
治療も終了し、帰路につこうとする時、
私は、クライアントに「お気をつけて。また来週!」と伝えました。
すると、「ありがとう」って聴こえたんです!
一瞬、何が起こったのか理解出来ませんでした。
でも、確かに、クライアントが自分で言ったのです。
クライアントの奥様と驚いて目を合わせていたら、
また、「ありがとう」って。
言語障がいがあって、会話がままならない状態だったはずなのに!
「ありがとう」と言った!
うれしくて思わず、奥様と二人で笑い出してしまいました。
つられてクライアントも満面の笑顔をされました。
その日からです。
クライアントの会話する力が、少しずつ進展し始めました。
「受け取る」というのは、とてもシンプルで、とてもパワフルなのです!
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