コミュニケーションで想定外のリハビリ効果が! -「怖さ」があっても、スムーズに歩ける-
医療、看護、歯科、リハビリ介護、福祉福祉CTNブログこんにちは。
水島裕一といいます。
理学療法士としてクリニックから患者さんの自宅に訪問してリハビリを行っています。
利用者さんとのコミュニケーションで変化を創れたことがあったのでご紹介します。
担当させて頂いた利用者さん(Aさん)は、脳卒中の後遺症で左半身に運動麻痺の症状があり、左足の引きずりやすさがありました。ただ、自宅内では一人で歩けていたので、ご家族は外出に誘っていたのですがなかなか外出はできないでいました。
Aさんには、つまずく「怖さ」があり、外に一歩踏み出すことが出来ないでいたようです。
Aさんが入院していた病院でも歩く時に左足に力を入れすぎないことや歩き方の注意点を伝えられていたのですが、歩き方は変化しませんでした。
やり方や注意することでは、Aさんの「怖さ」は拭えませんでした。
リハビリで訪問したある日、
Aさんの左太ももに筋肉痛がありました。
Aさん:なんで筋肉痛が起きたんだろう?
昨日歩きすぎたかな?
私:そうかもしれないですね?
どんなときに痛みますか?
Aさん:う~ん。歩いていて、左足出すときかな。
私:左足出すときは太ももに力は入ってますか?
Aさん:(実際試してみて)
あれ?ほんとだ。左足に力が入ってます。
私:そうなんですね。力は抜けそうですか?
Aさん:力を抜くと左足がつまずいちゃう気がします。
私:そうなんですね。力を抜いてつまずいてしまったことがあるんですか?
Aさん:いや、ないです。力が入っていることにも気がつきませんでした。
なんだかそんな気がして。
私:そうなんですね。
そばで何かあったら支えるので、一度左足の力を抜いて歩いてみませんか?
Aさん:え~、たぶんつまずくと思いますよ。
私:試してみませんか
Aさん:わかりました。やってみます。
実際に左太ももの力を抜いて歩く練習を実施。
私:どうでしたか?
Aさん:え~なんで~。
私:どうされました?
Aさん:全然つまずかないし、歩きやすかったです。左足がスムーズに出ました。
私:そうだったんですね。私も左足が出しやすそうにみえました。
Aさん:ふしぎ~。いつもたぶん頑張って歩いてたのに。
逆に力を抜いたほうが歩きやすいなんて~。
私:確かにそうかもしれないですね。
これだと外も歩きやすそうですね。
Aさん:確かに!
怖いですけど、外を歩けるかもしれない。
私:それでは試してみましょう。
この後に実際に外を歩いてみると、「怖さ」はありましたがスムーズに歩くことができました。
そして、外を歩くことができるようになり、Aさんの念願だった温泉旅行にも行くことができました。
歩き方や注意点をアドバイスすることでは変化を創ることが出来ませんでした。
「怖さ」があることで外出という一歩を踏み出すことが出来なかったのです。
そこで、ご本人のお話をしっかりと聴き、お互いが感じていることを持ち出し合いながらリハビリを行いました。
その結果、「外出してみても良いかも」と思えるきっかけを創ることが出来ました。
「怖さ」をもったまま、その「怖さ」に行動を制限されず、外出という大きな一歩を踏み出すことができ、念願だった温泉旅行に行くことが出来ました。
最後までお読みくださりありがとうございました。