ピンときて自分が立ち位置を変えることで、幸せな瞬間に立ち会えました
家族、親子、子ども・親との関係などこんにちは。吉田あかねです。
現在、1学年30人弱の広島の美容専門学校で「美容保健」と「衛生管理」の2科目を教えています。
入学当初から私が担当した学生が、今年初めて国家試験を受けました。
美容師の国家試験には実地試験と筆記試験があり、私が担当している科目は筆記試験の内容です。6割で合格と言われる筆記試験で、私が教えている2教科は試験問題の半分を占めていているのです。
最初は年が明ければ国家試験に向けて勉強を始めるだろうと思っていましたが、1月は、2月にある実技試験のための対策授業で疲れ果てて授業中はぐっすり寝ている学生が何人かいました。その学生の多くは、1年生の時から毎回追試を受ける学生で気が気ではありませんでした。
それでも「2月の実技試験が終われば学科だけだから頑張るだろう、授業数も増えるので何とかなるだろう」と思っていました。
しかし現実は・・・
相変わらず授業中に熟睡していることも続いていましたし、質問をしても、問題を解いても全ての内容を初めて見るような顔をしていました。
学生の間で理解の差が出ており、「先生もう放っておいて良いよ。やらない本人が悪いのだから」と言う学生も出始めて、どの学生に合わせて授業を進行するかを考え始めていました。
国家対策の模擬試験でも合格ラインに全く届いていない学生も数人おり、私はますます焦るばかりでした。
国家試験対策の授業を続けながら、学生から言われた「先生もう放っておいて良いよ。やらない本人が悪いのだから」という言葉が私の心に引っかかっていました。
美容師になるために入った学校、その美容師になるための試験が目前に来ているのに、なぜ勉強しないのだろう・・・
ちょうどその時期、別の学年で自主退学をした学生がいました。以前その学生から「私は美容師になりたくて入学したわけではなかった。他にやりたいことがあったけど、高校の先生から言われて入学した。先生も喜んだし・・・」
その瞬間私は、「自分が教えている科目が原因で国家試験に落ちて欲しくない」という自分勝手なエゴから「みんな美容師になりたいのだから、全員国家試験に合格させなければならない」という考えに置き換えて、そのこと縛られていることに気付きました。いや!そもそも私は、全員に自分らしい人生を生きて欲しいんだった。そのことに気付いた時に私の立ち位置が美容師になるかならないかは学生一人一人が決め、その決めたことを全力で応援するというところに変化していました。
そうすると、今まで見えていなかった居残りで勉強する生徒の存在が見えてきました。
私は迷うことなくすぐに、「私に出来ることある?私も残れるよ」と学生に声をかけました。
「先生が付き合ってくれたら助かります」と答えが返ってきました。その日から授業が終わってから2時間残って一緒に勉強をしました。
そして、「先生もう放っておいて良いよ。」と言っていた学生も参加し、「教えたら自分の勉強にもなるしねぇ」と言いながら他の学生に教えてくれていました。教えてもらった学生も「〇〇さんに教えてもらったら覚えられた」と言っていました。
最初はどこがわからないかがわからなかった学生達が、「先生ここについてもう一回教えて」とすごい勢いで吸収していきました、最後の模試ではほとんどの学生が90点以上取れるようになっていました。
そして学生たちの表情はキラキラと変化し、自信に溢れたものになっていきました。
クラスの雰囲気もいつしか『全員で美容師になろう』というものに変化していました。
私が『全員合格』だけで動いていたら、学生たちの変化に気付くことが出来ていなかったかもしれません。学生たちの変化に立ち会えたことは幸せな時間でした。
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