子どもたちの当たり前を崩してみたら?
家族、親子、子ども・親との関係などCTNブログ岸英光はじめまして。
滋賀県大津市で放課後等デイサービスを運営しています、パラダイムシフトコミュニケーション®トレーナーの大和幸子(やまとさちこ)と申します。
放課後等デイサービスとは、小学校1年生から高校3年生までの障がいのある子どもたちが放課後や学校休業日に利用する、通所訓練施設の総称です。
私達の施設では少人数で行く「パラダイムシフト合宿」*をやっています。
(※パラダイム:価値観の枠組み、詳しくは講座で学びます)
障がいのある子どもたちの中には、予測できないことや納得できないこと、困ったことやびっくりしたこと、不快なこと等々が起こった時、パニックを起こす子がいます。
そのため、普段の生活では本人たちが安心できるようできるだけパターンを変えないような「お決まりの」生活をすることが多いような気がします。
また、知らない人と交流するような活動も少ないと思います。
知的障害を伴っている子どもたちには、本人たちがわかりやすいような工夫をすることも多いです。
でも、うちの施設に通っている子どもたちを見ていると、本当に「お決まり」の生活をすることを望んでいたり、本人たちが分かりやすいような工夫をしてもらうことを必要としているのかと思うことがしばしばあります。
というのも、障がいのある子の「お決まり」といういつも同じ行動パターンは、本人が好んでやっていることとされていることが多いように思いますが、私は本人の困りごとなのではと捉えていて、困りごとなら外れた方が生きやすくなるかも、と考えたのです。いつもの「当たり前」の生活の中に「お決まり」もあるので、この「当たり前」を崩すと違いが作れるかもと思い「パラダイムシフト合宿」を行いました。
例えば、地元の大津で満開の桜を見た翌日、八甲田山の雪の回廊に行って雪遊びをし、翌週には滋賀県北部で少し遅れた満開の桜と菜の花でお花見をした翌日、北海道に行き、舞い散る雪の中で駆け回ったり…。
そして、その翌週には宮古島で海水浴をする等々。
宮古島では、いつも街づくりの設計図を描いてる子を、経営者のミーティングに参加させてみたりもしました。
引率している私自身が一番「何何?どういうこと?」と驚きの連続の旅を繰り返し行ってみました。
すると、ある子は反応速度が非常に遅かったのが、普通の速度で反応し行動できるようになってきました。
別の子は、多動でいつもじっとしていられなく、飛行機の中でも常にソワソワしていて、5分おきぐらいに「今はどこを飛んでるの?」と聞いてきていましたが、景色を見ながら落ち着いて乗れるようになりました。
また、他の人に全く興味がないように見えるいつも一人でいる子は、友達と関われるようになり、友達と一緒に手をつないで歩いていたり、写真を撮るときには自分から友達に後ろから抱き着いたポーズをするようになりました。また、いつも一方的に話しかけてはくるけど、こちらの返事は聞かなかったのが、会話のキャッチボールもできるようになりましたし、他の子との会話に自ら参加してくるようにもなりました。
そして、帰りの空港では、全員のスーツケースをターンテーブルからおろしてくれていました。 みんなの持ち物を覚えていたのには驚きました。
海を怖がって波打ち際でしか遊べなかった子を、宮古島に連れて行ってウミガメと泳ぐ体験をさせると、どんどんと深いところ(足は届きます)でウミガメを追いかけながら泳げるようになりました。
いつも大人しく、問いかけてもはにかみながらうなづくだけの子は、動画を撮影している私を押しのけ、我先にと泳いでいました。
子どもたちには、「合宿には、自分のことが自分でできる子しか連れていけないよ。」と言っていたので、お風呂で自分の身体や頭を洗えなかった子たちは、今までは洗ってもらうのが当たり前だったのですが、合宿中に練習して自分で洗えるようになったり、自分の持ち物の管理ができるようになりました。
合宿中は、私たちが注意や指示をしないでも、適切な行動が取れるようになっていたり、友達同士で協力し合ったり、自分のできる役割を自主的に担う子も出てきました。
その子達の様子を見ていたまだ合宿に行っていない子どもたちの中にも、「ママ、手伝わないで。自分のことができないと合宿に行けないから、私合宿行くために頑張るから。」と家で自主的に取り組む子が出てきました。
計画は初日だけ大雑把に決めて、現地で子どもたちの反応を見ながら次にどこでどんな体験をするかを決めていましたが、「お決まり」が崩れるとパニックを起こす子も参加していましたが、全く乱れることなく、コロコロ変わっていくスケジュールに、臨機応変についてきてくれました。
自分が行きたいと決めると、「お決まり」がなくても不安になることなく、自分次第でどんどん変化に対応していく子どもたちのキラキラした様子を見ていると、もっともっと「当たり前」を外す体験をさせてあげたいと思うようになりました。
きっと、私の枠が一番外れたんじゃないかと思っています。