あり得ないと思っていた父のスマホデビュー
CTNブログ岸英光家族、親子、子ども・親との関係など日常生活での気づき、趣味
パラダイムシフトコミュニケーション®トレーナーの藤田です。
私の父は昔気質の江戸っ子です。携帯電話(ガラケー)を持ち始めるのも、同年代の人と比べても大分遅く、メールもショートメールのみでした。私が「スマホを使ったらいいのに」と言っても、「いいよ、俺は」と言って終わりでした。
父の性格上、スマホは一生使わないだろうと思っていました。
昨年父方の叔父が繁華街で倒れ、救急車で運ばれ緊急手術をしたことがありました。
緊急搬送された翌日、両親と一緒にお見舞いへ行きました。父の兄弟の叔父叔母、その子ども、私にとってのいとこが集まり、叔父のベッドの周りを8人で囲む状態になりました。
そこで「叔父のこれからをいろいろやりとりするために、親戚のLINEのグループがあるといいよね」という話が出てきました。
すると、なんと!父がスマホを持つと言い出し、翌日にはスマホデビュー!!
さらに契約した日のうちに従姉妹が父のスマホにLINEを登録してくれて、父がLINEをはじめました。
私が父にいろいろ言ったり、スマホの操作をサポートすることなく、父の「俺はスマホはやらない」というパラダイム※がシフトし、LINEまで始めちゃいました。
このとき父には他のパラダイムシフトも起こりました。
それは、食生活のことです。
娘として「こんな食生活が身体に良いよ」とか、せめて飲み物だけでもと思い「毎日ほうじ茶を飲んでいるけど、急須でいれるのではなく40分煎じると血液を良い状態にする成分が出るらしいからやってみたら」などと勧めることがあったのですが、江戸っ子で頑固な父は、食生活について受け入れることはありませんでした。
それが、お見舞いのときに私が叔父へ「叔父さん、手術後の回復や再発防止のためにこんな食生活が身体にいいかも。あと、40分煎じたほうじ茶も持ってきたから飲んでね。」と話していたところ、翌日からなぜか父がお茶を煎じて飲むようになりました。
さらに「俺は絶対食べない!」と言っていた玄米を食べるようになりました。
この4ヶ月後に父は大腸のポリープを取る手術を受けたのですが、退院後に腸に負担をかけない食事を自ら積極的に食べたことで、主治医から「その食生活は素晴らしいですね」と言われたそうです。
あの父が主治医から食生活を褒められる日がくるなんて考えたこともなかったです。
そしてこのパラダイムシフトは母にも広がりました。
もともと母は軽い糖尿病で、私は母にも「糖尿病をひどくしないためにもこんな食事をとったら」と言っていました。しかし、母の食生活も変わりませんでした。
それが父の食生活が変わった後、母の食生活も変わってきました。
振り返ってみると、父へ直接「スマホを使ったら」「身体にいい食事をとったら」母に「糖尿病予防のために食生活気をつけたら」と言っていたときには、両親にその思いは届きませんでした。
パラダイムは直接指摘すると固まることが多いと言われていますが、父の場合は叔父の手術がきっかけで、スマホデビューし、食生活も変わりました。
そして父のパラダイムシフトが母に連鎖しました。
高齢の両親はもう変わらないわけではない、と実感しました。
起こらない、ありえない、と思っていたことが、実はどんどん起こってもいいのかも、と思えた出来事でした。
※パラダイム…価値観の枠組み。詳しくはコミュニケーショントレーニングネットワーク®の講座で扱います。