退職したいまま働いてもOK

コミュニケーショントレーニングネットワーク®講師吉田あかねです。

現在私はある団体の理事をしています。このコミュニケーショントレーニングネットワークで学んだセンスであっという間に人がシフトした瞬間に立ち会うことがありました。

 

私が理事をしている会には理事会と運営上の諸事務を担当する事務局があります。理事は会議の時のみ集まりますが、それ以外の時は各自の職場で仕事をしています。ですから会での業務の中心は事務局が担っています。

事務局は２名体制で行っていましたが、業務量の増大により増員し、現在は４名で行っています。この４名に落ち着くまでには新規で採用した人が１年以内に退職することが数年続きました。

 

退職者が続くことで理事の中には「新しい職員が続かないのはベテランの職員の指導が厳しいのでは？」と言う人も出始めて、理事と事務局の関係がぎこちなくなり始めました。

そのぎこちない関係性はコミュニケーションや情報共有にも現れてきました。事務局の人たちが先回りをして片づけてもらっていた業務を「事務局が勝手に判断して・・・」というクレームになっていきました、その姿を見ていて私に何が出来るだろうかと思い悩んでいました。

そこで私はベテラン職員たちの話を聴くことにしました。「理事の人にどこまで相談すればいいのか分からない」「理事の人たちは新入社員がやめていくのは私たちがと思っているけど、教えてやっと引き継げると思っていたのに・・・退職されて疲れました私たちだって悔しいし悲しいのに・・・」

今までの聴いたことのない話が次から次へと出てきました。

 

そんな空気の中で新入社員のAさんは笑顔が少なく、いつも緊張していました。何か言われる度に「すみません・・・」と謝っていました。また業務を何度も確認する姿に緊張が見えこんな感じで続くのかとなぁと思っていたある日事務局を訪問した時、ベテランの職員から「吉田先生、Aさんの話を聞いてもらっていいですか？」と話しかけられ、別室で話を聴くことになりました。

 

Aさんは３か月前に入社した新人で、業務をするのにも時間がかかっていました。また最近沈んでいるような様子で気にはなっていました。

2人で別室に入りました。最初Aさんは言いにくそうにしていましたが、意を決したように「頼まれた仕事をするのに時間がかかって、全然出来なくて、迷惑かけてばかりで・・・これ以上迷惑をかけるわけにいかないので退職したいって思っています。」と言いました。

 

私は講座で学んだセンスで、Aさんの話をすべて受け取りました。

そして、Aさんから言葉が出なくなりました。私は「まだ何かあれば言って」「ほかにはない？」と伝え、Aさんから「もうないです」と言う言葉が出るまで受け取り続けました。と、同時に「退職したい」という彼女の気持ちも受け取りました。

その後私は「退職したいまま仕事続けても良いんじゃない。別に退職したい気持ちをなくさなくても良いんじゃない」と私は伝えました。一瞬Aさんの顔は“？”がいっぱいになりましたが、その後「そうですねぇ。退職したいまま続けていいんですねぇ」と言って部屋から出ていきました。

 

 

このセンスを学ぶ前までの私は、「そんなことないよ」「そのうち慣れるから」「まだ決断するのは早いよ」と、いう言葉で退職を止めようとしていました。また、「辞めたい」という感情はネガティブな感情だから取り除こうしていました。しかし現実は退職者を止めることができませんでした。

 

先日Aさんから「退職の気持ちを伝えた時、辞めたいまま仕事続けても良いんじゃないって言われた瞬間にスットンって腑に落ちて、フッ～と気持ちが軽くなりました。」伝えられました。そしてAさんは・・・笑顔で現在も勤務を続けています。

 

 

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