『人の意見を聞かない人だった』はずなのに?! ~“話を聴いただけ”でその人が適切に動き出した話~
講座・イベント情報、報告、講座に参加して自分自身の生き方、変化、成長仕事、ビジネス、経営、組織づくりCTNブログ岸英光未分類こんにちは、原 登志文です。
私は製薬会社で研修部に所属しています。
これは以前、ある製品グループと研修の打ち合わせ会議をした時の話です。
その製品グループが営業担当者向けの研修用スライドをつくるにあたり、私の所属す
る研修部がサポートすることになりました。
平行線の議論が続いた約1時間の会議が終わろうとした時、突然、製品担当者のAさん
がこう言いました。
「ちょっと待ってください。そしたら、私は表紙のスライドに自分の顔写真を貼っ
て、3枚目のスライドの説明文を箇条書きに変更して、5枚目のスライドを・・・に変
更して、あと、○○と××を変更すればいいんですね。」
その言葉があまりに軽やかだったので、Aさんのマネジャーは、びっくりした表情でA
さんを見ました。
今まであんなに反対していたのになぜ?
一体何が起こったの・・・?
その日の会議は、研修部から私とBさんの2名、そして製品グループからAさんとCさん
の2名、合わせて4名で実施する予定でした。
ところが前日にCさんから製品グループのマネジャーも出席するとの連絡がありまし
た。
話を伺うと、研修スライドの作成者であるAさんは、普段から人の意見を聴かないの
で周りの人も手を焼いているとのことでした。
なので、Aさんが原因で会議がもめたりしないか心配で、AさんとCさんのマネジャー
も同席したいとのことでした。
会議は、研修当日に発表するスライドをAさんから一通り紹介してもらったあと、研
修部から改善案を提案し、スライドの内容を調整していくという流れで進めます。
スライドの紹介が終わったあと、このような会話がありました。
Bさん(研修部)「まず、表紙にAさんの顔写真がないので付けておいてください
ね。」
Aさん「今まで付けたこともないし、付ける必要はないと思います。」
私「最近、皆さん付けてますよ。その方が現場のMRも製品担当者がどんな人なのかが
分かって活動してくれやすくなるみたいですよ。」(※MR:製薬会社の営業担当者の
名称)
Aさん「そんな・・・顔写真なんか・・恥ずかしくて、そこまでしてやる必要はない
と思います。絶対イヤです。」
マネジャーが、スイマセンといった表情でこちらを見ました。
そこで私は「そうなんですね。わかりました。それでは、次のスライドです
が・・・」と写真のことは決着を着けないまま、次に話を進めました。
3枚目のスライドは、長文が記載されていました。
それをAさんが読み上げる形式でした。
私「すごく丁寧に説明されていて良いと思いますが、MRがすぐに活動できるかという
観点から見ると、少し難しく感じるかもしれません。ここはポイントを箇条書きにし
て、この文章はAさんが口頭で説明するようにしてはどうでしょうか。」
Aさん「これまでも、このような書き方で理解されてきたし、後で読んで分かるよう
にしているので、変える必要はありません。」
Bさん(研修部)「私も、MRは忙しいので、一目で活動のイメージができるよう箇条
書きがいいと思いますよ。」
Aさん「MRは、後で資料を見てよく分かる方がいいんです。だから、今までそうして
きたんです。箇条書きなんかにしたら、逆になぜそれをやる必要があるのかが分から
なくなって、結局、活動には結びつかないんです。」
私:「そうなんですね。それでは、次のスライドですが・・」
このようなやりとりをしながら会議は進んでいきました。
研修部からは5枚のスライドに修正案を出しましたが、Aさんは変えない理由をいろい
ろと話されて、すべて受け入れてもらえませんでした。
会議の間、マネジャーは、何も言わず座っていました。
恐らく修正箇所を確認しておき、後でAさんと話し合うつもりだったのでしょう。
ところが会議の終了時間が近づき、私が「じゃあ、今日のところは、この辺で終りに
しましょうか・・・。」と言いかけたとき、突然Aさんが冒頭の言葉を言ったので
す。
その話し方は、まるで初めから納得していたかのように、私たち研修部が提案した5
つの修正案を正確に復唱するような滑らかな口調でした。
皆、一瞬「???」となりましたが、
私は「はい、そうです。それでは、よろしくお願いします。」と言って、その打ち合
わせ会議は終了しました。
会議が終わった後、私がコミュニケーショントレーニングネットワーク®(以下、
講座)でコミュニケーションについて学んでいることを知っているBさんが、「あれ
は一体何だったんですか?」と質問してきました。
私は、「Aさんの話を講座で学んだ聴き方をしただけだよ。そしたら、ああなったん
だよ。」と言いました。
その後、追加の打ち合わせ会議もなく、研修当日は打ち合わせどおりの内容で、しっ
かりと発表されているAさんがいました。
以前の私は、会議で議論が白熱して言い争いになり、時間も労力も使い切ってヘトヘ
トになってしまうことがよくありました。
でも、講座で学んだ聴き方をするようになってからは、ほとんど労力を使うことなく
時間内に会議が終了し、さらに相手との関係がより良くなっていきました。
目の前で見えている表面上の言葉のやりとりとは、全く異なるコミュニケーションが
あります。
そのようなコミュニケーションの中では、人はしっかりと存在し適切に動きだしま
す。
そんな感覚を感じながら、今日も周りの人たちと仕事に取り組んでいます。
皆さんも聴くだけで相手が前進するコミュニケーションを講座で学んでみませんか?